故障・修理
更新日:2021.03.30 / 掲載日:2021.03.30
RENAULT サンクターボ公道復帰計画 その1
倉庫で15年間眠っていたルノー・サンクターボ。新オーナーの36年越しの想いを乗せ加速できるか?荒川の畔でレストアが始まった。
ルノー・サンクターボは1980年から1983年まで、大衆車ルノー・サンクをベースに約1800台生産された。WRCのホロモゲーションをクリアするために作られた市販車である。
キャビンはベース車である、ルノー・サンクの流用であるが、フロントとリヤに一際目を引くグラスファイバー製のグラマラスなオーバーフェンダーが張り出し、ワイドタイヤが収まる。なおルーフ、ドア、リヤゲートはアルミ製に変更。
足回りはフロント、リヤ共にスペースフレームを設け、サスペンションはダブルウィッシュボーン(サンクはリヤがトレーリングアームであるが、ダブルウィッシュボーンに変更)、ブレーキは前後ともにディスクブレーキ仕様だ。
軽量化や重量物を集中させ運動性能を高めるために後部座席を撤去し、パワートレーンのレイアウトも基準車のフロントエンジン&フロントドライブからエンジンとミッションをミッドシップとしつつ、リヤドライブ化している。
ミッドシップ化され、行き場を失った、ポリエチレン製の燃料タンクも2分割され左右両座席の下部に収められた。
ギャレット製のインタークーラーターボで武装された1397ccOHVエンジンは、扱いやすくマイルドになった現代のターボ車とは一線を画す、いわゆるドッカンターボ。ある回転数から荒々しく加速する様はフレンチロケットの称号に相応しいスリリングな乗り味だ。
グラマラスなオーバーフェンダーに目が行きがちだが、このサンクターボは青と赤のコントラストが鮮烈なインテリアデザインも秀逸だ。
イタリアの建築物など、デザイン界に大きな影響力を持つデザイナー、マリオ・ベリーニ氏が担当したポップなインパネにステアリング。まるでファニチャーの様なシートも美しい。
またフロントセクションにベース車がFFであった形跡が残っているところも、サンクターボの隠れた味である。
フロントフェイスはサンクのヘッドライト、ラジエターグリルがそのまま使われているのでベースとなったサンクの雰囲気が濃く残っている。オーバーフェンダーでワイドになっているので専用バンパーが付く。
ノーズがやや長めの2ドアハッチバックスタイル。ドアハンドルがないのもデザインの特徴だ。クォーターウインドウのヒンジにガタがあり、ウインドウ脱落防止の為にテープで補修している。
カメラマンがオーナーの近さんに「サンクターボはどの角度が好きですか?」と訊ねて撮った写真。この角度から見るグラマラスなオーバーフェンダー、バックスタイルがオーナーのお気に入りだ。